12.なぜ他の経営幹部がデジタル化を止める実態があなたの会社にあるのか?

「社長、それは普段からの情報による刺激がないことが大きいのでは?」


 ご相談をいただく時によく出る文言の一つとして、何か企業における革新を進めていこうという話が出る時、「他の役員がなんていうか…」というものがあります。最初は「検討します」と同じような暗に断る文句なのかと考えていましたが、いろいろなケースを重ねていくにつれ、それが日本の企業の実態なのだと確信するに至りました。経営の変化を推進しなければならない経営陣が誰よりその変化を拒む、そうなってしまう要因から記述していきます。


▶︎なぜ経営幹部が会社の変化を拒むのかの4つの理由

①自分の目的に貢献しなそうなコストへの抵抗感

②自分にとって未知なるものへの抵抗感

③古くからあるものを壊さないことに対する正義

④経営は変化が必要だということに対する無知


①自分の目的に貢献しなそうなコストへの抵抗感

よい会社の経営幹部は皆会社にとって何が一番いいのかという同じ視点をお持ちですが、よいとまで言えない経営幹部の皆様のほとんどは「自分の管掌範囲にとって何が一番いいのか」という視点しかなく、それ故そこに関さないほとんどのコストのことを無駄なコストとして捉えがちだという実態があると考えます。まず経営幹部の方々(それが例え身内であろうが、年上の古参であろうが)に会社全体のこと、会社の未来のことを考えてもらう機会を設けることが重要だと考えます。実際に大手企業様で基幹業務システムへのAI機能実装を行うとなった際は、社長をはじめとした幹部メンバー約40名に対して繰り返し勉強会を実施させていただいたこともありました。その際にも企業にとってのこれからのテクノロジーの在り方を全体から理解してもらえるような内容を作りました。まずは考える機会を創り、考え方を持つように文化を醸成していく必要があります。また、各経営幹部の管掌範囲にどのように影響するのかというのも共有していくことが重要ですね。


②自分にとって未知なるものへの抵抗感

⇒自分が知らないものに対する態度がその人の器を決めるようなところもありますが、まさに知らないものに興味を持ち何か活かせないかと考えられる人財と、知らないものを排除しようとする人材に分かれると感じます。経営人財というのは本来当たり前に前者であるべきとは感じますが、日々の業務管理に追われていたり、はたまた真逆ので怠慢に満ち溢れた日常になっており、そうなっていない経営人財もいらっしゃるのではないでしょうか。大前提とも言えることだと感じますが、経営者及びそれに準ずる全ての人は勤勉で、新しきへの抵抗感を持つことなく、経営において必要なことを吸収し続ける義務があると考えます。トップが吸収し続けることが重要であると考えられる機会を用意するのは①と同じで重要なことだと考えますが、一方でそういった機会を作っても変わらずに知らないものを受け入れない経営人財をいかなる理由があっても幹部に置き続けるべきでしょうか? 経営者の方が役員のどなたかが無能であり、もしくは厄介であり、会社の健全な成長や存続を阻害しているという認識をしているにも関わらず、仕方がないと放置しているのをたまに耳にします。それは経営の責任を果たす行動なのでしょうか。まずはその体制の刷新をすることが、従業員に責務を果たすことではないでしょうか?


③古くからあるものを壊さないことに対する正義

⇒「先代から引き継いだ〜を壊さない」やら「この〜を守るのが私の役目」やら、某半沢直樹や某陸王などの素敵なビジネス系ヒューマンドラマでよく出てくるセリフだと想います。意味はよくわかりますが、ただ古い慣習を残すだけのことなら極めて意味のないことだと感じます。私たちは「古参の人財の首を切る」という選択肢を奨励していないのですが、なぜかというと今までの会社を創ってきた功労者を無碍に扱ってしまうということ自体が会社にとってよくない文化を作ることだという確証があるからです。複数のケースにおいて、これらがいい効果をもたらすものではないことは明白でした。しかし、その一方で、過去の功労者はもちろんのこと、ただ昔からいた幹部や従業員が「未来の会社のことを全く考えておらず、変わろうとする努力もしないことが明白な時に限っては、いち早くその悪い芽を摘む」ことをお薦めしています。そうならないためにもこれからの会社の方向性を明確にし、それを社内に常々表現し続けることで未来を考え、変わっていくことが重要だという文化を根付かせましょう。


④経営は変化が必要だということに対する無知

⇒常々、過去の記事でも何度となく書いてきていることでもあるのですが、経営というのは「絶えず変化していくこと」を無視することはできませんし、できるはずもありません。変化したいか、したくないか、という話ではなく、変化をしなければならないということはかのドラッカーも自著の中で繰り返し語っていることでもあります。変化が必要だということを知らない一番の要因は「勉強をしていないこと」ではないでしょうか。本を読み、人の話を聞き、ビジネスに必要なことをインプットするタイミングさえあれば、いずれ気づけることではあると考えますが、その機会がないから気付けない。なので、最初に、そして繰り返し行うべきことは、会社にとって重要な人財に経営において重要なことをインプットする機会を創ることだと考えます。私たちの支援する企業の大半は研修に力を入れている企業だということは断言できますし、経営陣もコンサルタントなどの力を十二分に活用できている勉強熱心な企業ばかりです。無知を生むのは経営者の罪だとも言えます。積極的に会社における知見レベルを高めるための投資を実行してみてはいかがでしょうか。


 基本的には常日頃からの研修やコンサルタントの知見を経営者だけでなく、社内人財に行き渡るような状況に設計することは会社の人財力を大きく高め、次の変化を適切に生んでいく起点になるはずです。私たちも経営アドバイザリーのような立ち位置から、経営幹部の知見レベルを向上させるための支援も行っています。ピンポイントのご依頼も承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

MiLAI Brain

『Digital Power Inside』 『MiLAI Brain』は、デジタル機能を自社に内製化したいすべての経営者様のためのメディアです。 上場前後の成長企業を中心に、デジタル部署の内製化をメインにお力添えしてきているリトルクラウドが発信するリアルな現場✖デジタルシフトの知見✖経営目線で実用的な情報をお届けして参ります。 デジタル機能の内製化に悩むあなたのブレーンとなるメディアへ。

Copel-デジタル経営コンサルタント

全国を股にかけ、アナログな業界のデジタルシフトに従事する株式会社リトルクラウドの経営コンサルタント、Copel。上場を視野に入れた複数社でのデジタルシフトに従事。新規事業開発から社内インフラの刷新、マーケティング戦略の立案やデータ分析体制の確立など多岐に亘ってのいわゆる『DX的業務』に貢献。DXとはチェンジマネジメントであるという経営視点からの認識と、広範囲を統括できる知識量、社内社外問わない卓越したリソースマネジメント手腕が高く評価されている。

0コメント

  • 1000 / 1000