「社長、それはデータを用いて戦略を改善するのが現代の定石だからです」
根本的な話にはなってきますが、なぜデータを貯めるべきなのか、というところが明確に理解できていない経営者も少なくないように感じます。以前の記事で書かせていただいたように、「データを貯めなきゃいけない!」というお考えになられている方は増えていると想うのですが、一方で「なぜデータを貯めるべきなのか」という理屈が完全にわかっている状況じゃないため、社内へのメッセージが不十分で、結果データが貯まらない、もしくは貯まっているだけ、という状態になりやすいはずです。近年では「データレイク」や「データウェアハウス」などといった専門用語もいろいろと登場しているのですが、ここでは「なぜデータを貯めるべきなのか」に着目していきたいと考えます。
▶なぜデータを貯めるべきなのかを語る3つの理由
①現状や顧客の動向を客観的に正しく把握するため
②営業やマーケティングの成果を劇的に変化させるため
③いわゆるAI的なデータ活用(機械学習等)のための土台作りのため
①現状や顧客の動向を客観的に正しく把握するため
⇒思い込みによる戦略の不合理はよくあることだと考えます。私たちが何かしらのご支援をさせていただく際にお願いすることの手始めは「現場」と「データ」を確認させていただくことです。どこの企業も経営者の方はいい情報や自分の視点での情報を共有してくださいます。でも、実際に現場やデータを見てみると、経営者の認識と現実が大きく乖離しているのはよくあることです。私たちの最初の役割はその思い込みを露わにすることからなのだと想いますし、データ自体が担う役割もそういったことになります。私は一番太った時に伺ったパーソナルトレーニングジムのお試し面談で、「見た感じ、○○%くらいの体脂肪だと想いますので、一旦計ってみましょう」というかなりショッキングな目測をいただいた(笑)のですが、実際に計ってみるとどうも何もしていない割に筋肉量がかなり多いらしく、目測-5%くらいの意外と正常に近い(とは言えないかもしれないが)数値でした。客観的且つ現実的な現状把握をするためにデータが不可欠ということです。バックオフィスのデータなどもリードタイム(その作業を完了するためにかかっている時間)などを出すことによって、生産性の改善の起点になりますので行いましょう。
②営業やマーケティングの成果を劇的に変化させるため
⇒しっかりデータ活用すると売上は簡単に1.5倍程度向上するのが、大体のケースです。しかも戦略を根本的に変えられれば、わずか2,3カ月でそれを実現させることも可能です。一番効果が出やすいのは顧客データの分析です。あなたの会社では顧客の細分化を行えていますか? 顧客データがせっかく貯まっていても、それぞれの項目(たとえば対法人なら従業員数、売上規模、業種、エリアなど。対個人なら性別、年収、職業、年齢など)を区分して、それらの項目と成果との相関関係を見出していくことができなければ意味がないです。また、どの層のお客様に対して重点的にアプローチした方がいいのかがわかると、行うべき施策や謳うべきメリットなどが当然一新できるわけです。これはすぐにでも効果に繋がるものなので、もし気合いと根性が前提になってしまっていたら、ぜひここの改善か行うべきだと考えます。これらも以前の記事でも記述しましたが、スプレッドシートでも十分行えます。もしそういった取り組みが行われていなければ、すぐにでも行うべきです。データは貯めるモノではなく、活用するモノなのです。
③いわゆるAI的なデータ活用(機械学習等)のための土台作りのため
⇒将来的なことを考えれば、データを蓄積することでいわゆる機械学習などの更なるテクノロジーを活用した有益な展開に持ち込むことが可能です。ただし、これらを考えた時には⑴何を目的とするのか ⑵どんなデータが必要だと定義するのか ⑶どのくらいの量が必要なのか ということを考える必要があります。このあたりは専門家と進めるしかないと考えますが、「AIを使いたい」という想いから闇雲にデータを蓄積しろという経営者も少なくないです。決して考え方として間違っているとは言い難いのですが、闇雲であるとなかなかやはり社内がなかなか協力的になりません。大まかでもいいので、意図背景を共有することを必須として動くべき未来への計画だと考えます。経営者以外にはイメージが湧きづらい事象となりますので、ぜひここはしっかりと計画的に。
まず経営者が理解していないことには、現場はおろか幹部もついてきません。データについての哲学を会社としてしっかり持つことが重要です。これからの世の中はクライアントファーストではなく、「データファースト」と言われる時代になることは間違いないです。なぜなら、そこにはお客様のことも含めたすべてが込められているからです。データファーストの経営に移行することは、現代のチェンジマネジメント、デジタルシフトの本質の1つかもしれませんね。
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