「社長、それは会社が徹底させないからです。システムのせいにするのはやめましょう」
セールスフォースをはじめとしたCRM(顧客情報を蓄積するシステムのこと)やSFA(営業進捗管理を行うシステムのこと)や、せっかく高いお金をかけて作った基幹業務システムなどにおいて、真っ先に出てくる「データを社員がちゃんと入力してくれない問題」。同じような問題にチャットワークやTeamsなどの「コミュニケーションツールを社員がちゃんと利用してくれない問題」というのもありますが、これらの問題は単純明快でわかりやすい内容であり、デジタルがどうのの問題では全くないモノだと常々実感しています。
▶なぜあなたの会社で重要なデータが貯まらないのか?
①会社(社長)が徹底したメッセージ発信を怠っているから
②会社の意思を代弁する幹部がいない、または幹部との合意形成ができていないから
③データ入力の達成度における評価軸やインセンティブがないから
①会社(社長)が徹底したメッセージ発信を怠っているから
⇒データが貯まらない一番の要因は絶対的にこれです。データを貯める重要性が社内に浸透していないだけだと考えます。会社の理念や行動指針が浸透するかしないかと全く同じような話で、単純にメッセージの回数や質が足りないのだと考えます。データを蓄積することが未来の経営や事業にどれだけのインパクトを与えるのか、ということを社内に共有できていないのでしょう。急に毎日「体重を計れ」と言われても、元々そういう習慣がなかったらなかなか毎日続けるってことは難しいと想います。でも、朝起きた時に「はい、今日も体重計ってね」と。それで忘れたとしても寝る前に「体重計った?」と聞いてもらえればできるのではないでしょうか? 更には、その理由の伝達、意図背景の共有ですね。なぜ体重を計らなければならないのか? つまり、なぜデータを貯めなければならないのか? それを伝えられているかどうかも大きいかと考えます。理由がないとただの作業になる、でも、それさえわかっていれば能動的に人は動くのではないでしょうか。基本の話かもしれませんが、実はデジタルシフト全体の本質はここにあると考えています。
②会社(社長)の意思を代弁する幹部がいない、または幹部との合意形成ができていないから
⇒営業のデータであれば、ちゃんと営業部署に徹底させない営業責任者が悪い。マーケティングのデータであれば、ちゃんとマーケティング部署に徹底させないマーケティング責任者が悪い。生産管理や在庫管理のデータであれば、それぞれの責任者が徹底させていない・・・と考えているとしたら、それは大きな間違いだと考えます。現場責任者は業務を遂行させるところに責任を持っており、データのことは二の次です。誰かが、各責任者に、データを入力する意図背景の伝達と、その実行のケツ叩きをする必要があるわけです。当然、それは各責任者に影響力がある人間、即ち社長がやるべきことだと考えます。これは別でデジタルシフトや経営企画の責任者を立てていたとしても、これは社長が率先して行うべきです。会社の文化形成の一部だと考え、経営幹部を巻き込んで中心から取り組んでいくべきだと考えます。また、本当に現場の手が足りない状況なのであればその業務改善を行うことも必要ですし、そもそもデータ入力を音声データの送付に変更して、システムへの入力にはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を活用することで、社内のデータ入力における負担を減少させることも可能です。こういった複数のアイデアも場数を踏んでいる弊社のようなプロにぜひご相談ください。
③データ入力の達成度における評価軸やインセンティブがないから
⇒「やれ!やれ!」という割にどのくらいできているのかの評価指標がないなんていうことはありませんか?指標もないのにできているかできていないかは、下手したら社長以外の誰しも判断することはできないとも考えます。データ入力はもちろん100%やるべきと言ってしまえばそれは当然ですが、100%に至るまでにはプロセスがあるはずです。そのプロセスにおいては「データ入力達成度(例)」のような指標をもたせて、部署やチームごとに競わせる、素晴らしいチームを表彰する、そういったことが必要になる時期があると想います。企業文化としてデータ入力が当たり前になるまでは。某証券会社でも数十年前にシステムを導入したばかりの時にそんな時代があったとのことを聞いています。また、先ほど表彰という言葉も使いましたが、インセンティブはとても重要です。データは企業においてとても重要な資産なのですから、ここをしっかり捉えられる人財は売上を上げてくる社員と同様に功労者だと考えます。もっとも、大抵データをしっかり入力してくる人財は自己管理ができている人財なので、売上にも貢献しているのではないかな、と想いますが・・・売上を上げていればデータ入力しなくていい、となっていればそれはきっと売上至上主義の企業文化の問題ですよ。
また、そもそものような話にもなってしまいますが、貯めるべきデータとして何が必要なのかの定義はできていますか? 何かしらのシステムに貯めるデータは闇雲になっていませんか? 営業を改善するためのデータが必要なのだとして、そのために必要なデータを定義できていますか? データを蓄積する以前に、⑴目的と⑵必要なデータの定義ができていない企業が実態としてほとんどです。「とにかく貯めろ!」ではなく、まず「何のためにデータを貯めるのか?」そして、「そのためにどんなデータが必要なのか?」、この部分から再確認してみませんか?
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