E.私がデジタル機能を自社に内製化してほしいと想う理由ー中編

こんにちは。

リトルクラウドの代表を務めております神原太郎です。


 今年から私生活の方では那覇に拠点を置き、沖縄→東京→大阪と行き来する形をとってみています。お試し期間とは思っているものの、既に住みやすさが尋常ではなく、且ついつも日程を取らなければならない島旅行が、ちょっとお出かけという感じで行けることに幸せを感じています。行き来も意外とストレスなく、大半のクライアント様との定常的なコミュニケーションはZoomで済んでしまうので、このまま組織拡大もこのような多拠点の形を模索してみようかとも考えていますが、とにかくトリッキーなことは最小限にして基本に忠実にやるべきことをやる、そんな経営をするべくできる範囲をしっかり見極めていこうと考えます。


 それでは、前編の続きを書いていきたいと想います。

 前回の続きですが、弊社のご支援は自社で自走していける状態(伴走はされていたり、一部業務を外注していたりはしても、中心が自社にある状態)を構築するのが目的で、そのご支援をさせていただいております。それを構築していくためには下記が必要です。


1.社内の人材がいること

2.明確な戦略があること

3.明確な目標数値があること

4.明確に活用すべき戦術・施策・パートナーがわかること

5.その領域のノウハウがリアルタイムに提供されること


これらを担保するためにどのようにご支援させていただいているのかを下記に記述させていただきます。


1.社内の人材がいること

→言い換えますと、「社内にそのプロジェクトに適性のある人間がいること」となります。

 よく聞かれることの一つとして、「未経験からでもマーケティング(新規事業開発、人材採用なども同じ)の担当者を任せられますか?」という質問があります。答えは「YES」です。もっと言ってしまえば、「経験者だからと言って、その分野(マーケティング)の担当者にするのはとても危険」です。これについては少し記述させていただきます。まずはマーケティングの話を例に取りましょう。

 ある企業様は「この人間がマーケティングの責任者だから」とインターネットメディアのディレクターの経験者にマーケティングの主担当者を任せていました。コンテンツマーケティング(自社サイト上に記事を制作し、検索エンジンの順位を伸ばすマーケティング手法)に力を入れており、メディアの経験者がいるだけあり、サイトはどんどんPV数を伸ばしています。広告も色々な種類のものを使えており、広告代理店も何社か使ってきているということでした。

 ある企業様はマーケティング経験者がおらず、内定者インターンを担当にあてがうことに決めました。リスティング広告の運用や、SNSの運用を内定者インターン2名のチームで進めることになっていました。


 さて、どちらが一般的に見て、うまくいっている企業でしょうか?

 正直ほとんどの方は前者だと考えるのではないかと考えますが、実は、後者の企業の方が客観的に見てうまくいっている状態なのが実情でした。

 前者の企業様がマーケティングの主担当者を任せていた人材は中途採用の人材でしたが、実は実質的なマーケティングの知見はほとんど持ち合わせておらず、施策は全体的に蓋を開けてみると闇雲。得意のコンテンツマーケティングも数字自体は伸びているものの、ビジネス上のターゲットではない人たちからのアクセスばかりが増えていて、実態としては機能していないも同然。挙句、広告代理店は結局自社での戦略が定まっていないため結果を出せなかったのが何社か変えることになっていた要因で、広告も色々やってみているだけで、成果は芳しくなく他のツールに集客は頼りきりになっている状態だということがわかりました。またその企業の経営者は、とはいえその人材に任せるという選択肢から切り替えることができなかったものの、その担当者も結局は結果出せずその後退職したとのことでした。

 後者の企業様はマーケティングのアドバイザーを入れ、目標設定と施策の選定を行い、計画を立案。Twitterアカウントは立ち上げ2ヶ月でフォロワーが早くも2000を突破し、自社サービスへの申し込みが週1件発生する状態に。リスティング広告は外部業者に4ヶ月任せたところから内定者が引き継ぎ、一人当たりのお客様の獲得単価が27000円→15000円への削減(約45%削減)が実現。そのまま新卒で入社する新戦力たちが躍動する嬉しい誤算に恵まれたそうです。


 実は、こちら、どちらも私の知り合いの企業様なのですが、この結果は最初から予見できたものでした。何を隠そう後者の企業のマーケティングのアドバイザーも私です。最初の質問の回答に戻りますと、「未経験でもマーケティングの担当はできますし、経験者でもマーケティングの担当は可能」です。ですが、誰でもいいわけではない、つまり経験が必要なのではないということです。

 私たちがご支援(マーケティング以外も含め)させていただく時、新規採用ではなく既存の社内にいる人材を新しいプロジェクトに登用するケースがございます。その時、その方と必ず面談をさせていただくのですが、その時に資質の見極めを行なっています。先ほど結果が予見できたというお話をしましたが、人材には適性があります。私たちはその資質・適性を見極め、当該の人物を中心に据えた場合のプロジェクトの難易度というのをお伝えさせていただいているのです。前者のパターンでは、私は「この人間が中心ではプロジェクトはとても難しい」と告げ、後者のパターンでは、「問題ないでしょう。やってみましょう」と申し上げております。

 もちろん、絶対はありません。ですが、的中率は相当なもの(ほぼ100%・・・)だと感じています。適性がある担当者でなければならないというつもりは全くありませんが、プロジェクトがうまくいくためには、うまくいかない要因を最大限取り除くことは当然行わなければならないことだと考えます。もし、社内に適切な人材がいないのであれば、当然採用が必要です。そして、採用するにしても、資質の見極めが重要です。

 キャリア(中途)採用でよく起きてしまうのが、近しいスキルを持っているからといって、責任者として採用してしまう事案です。デジタル関連の内容は、各役割ごとに必要なスキル・知見というのが、同じように知見を持っていないと分かりにくいというのは事実あると考えます。他の職種もキャリア(中途)採用というのは、経験者がいない企業ではなかなか見極めがしづらく難しいものですよね。デジタル関連の内容に限ったことではないのはよく考えるとご理解いただけるはずなのですが、意外とそこが盲点になりがちです。

 私たちがサポートする場合は社内に適切な人材がいない場合、採用からお手伝い差し上げております。場合によっては、デジタル人材を採用するためのチームを組成していることもあります。逆に社内の誰をデジタル関連部署に配属するのかを一緒に検討することもあります。


 私たちの支援が成功しやすい一つの要因としては、社内外からの登用問わず、資質の見極めをして、一番重要な「人材」という要素における成功確率を高めているからともいえますね。内製化のすべての始まりはこの要素が担保されていることに違いありません。

  また一方、詳細には書きませんが、外部人材をプロジェクトの中心に置くのも反対です。中心に置くならば最低でも週3以上(ビジネスタイムの半分以上)の時間をコミットくれている人であれば、まだ検討範囲かな、とは考えますが基本的にはやっぱり社内の人間が一番会社のことを考えられる可能性が高いと想います。私たちのような外部の人間に全任せしてください、と私たちが言わないのはそのためです。継続的に一番に御社の成果を考えられる一番の人間は、大切な社員様方だと心の底から想っているからです。


2.明確な戦略があること

→人財がいれば次に重要なのは「戦略」です。

 戦略というと、その言葉の定義がいろいろありうるので難しいですが、ここでいう戦略というのは「目的とそれを達成させる方向性」という言葉で表せるかな、と想います。

 まず、一番重要なのは「目的」です。ここが欠如している企業のプロジェクトは基本的にうまくいきません。これを一番理解したのは私たちがAIの事業活用を支援していた時のことでした。AIブームみたいな形で騒がれていた当時、「AIで何かできないかな」という企業様の相談にたくさん乗りました。私たちは真摯に対応していきましたが、結局、正式にAI活用のプロジェクトが進んだ会社様はすべて「目的が明確だった企業様」でした。需要予測をして在庫最適化をしたかったり、画像認識を分別に使いたかったり、「課題」からプロジェクトが始まっていたのです。

 経営者(特にオーナー経営者)は時として誤ります。なんとなく「やった方がいい」と聞いたこと、「他の会社で成功した」と聞いたことを自社でもやっちゃおう、として急に指令を出すような話です。これは基本的には最悪で、目的に沿った戦略に沿った戦術でないと、命を受けた人間もどこかのタイミングで何のためにやっているのかわからなくなるし、指標も不明瞭になるし、成功確率はだいぶ低いです。


 まずは、何か新しいことを始めるのは「目的」があって始めるべきなのだということをご理解いただきたいのです。

 WEBマーケティングは絶対しなければならないのではなく、売上目標が紹介だけで成り立つなら必要ありません。基幹業務システムは従業員やお客様が増えて、今後の事業を成立させていくために必要ならば前もって用意できるのが望ましいですが、拡大しない1人会社にはなくても十分やっていけます。エクセルで必要な数字が見えれば十分です。

 弊社のお客様は上場志向・上場間近な企業様が数多く占めますが、なぜそうなっているかというと「目的があり、その目的の達成にリトルクラウドが必要そうだから依頼する」という意思決定になっているからです。例えば、上場時の時価総額を見据えると新規事業として今の事業の延長線上のデジタル関連事業を行いたい、来期の売上の飛躍のためにマーケティングの内製化を行いPDCAのスピードを上げたい、など、それぞれの目的が明確にあります。


 その目的をどう達成していくか、ということをどう実現するのか、ということの方向性を決める必要があります。例えば、WEBマーケティングを成功させていくためには、何の施策を行うのかという以前に「どんなお客様(ターゲット)に、どんな内容(メリットやコンセプト)を伝えて、魅力を感じてもらいたいのか」というマーケティング上の方向性を決める必要があります。大事なのはリスティング広告を運用することやオウンドメディアを運営すること、ではなく、この方向性に合わせて何をやるかを決めることなのです。そして、これを決めていなければとてもじゃないですがプロジェクトがうまくいくはずがありません。


 そして更に重要なことは、こういう大事なことを「現場任せにしている」などと口にする経営者がいるということです。ふざけんじゃないよ、ということです。戦略が立てられるようなレベルの人財が貴社にいるのであれば、それで良いですが、そんな人材も社内にいないのに「任せている」という怠け者の経営者がビジョンを語っていたりすることが信じられません。

 一方、こんなことを書いていますが、過去の自分がそうだったと深く深く反省しているということもまた事実なのです(笑)社長はビジョンを語るのが仕事だとはよく言いますが、自分の怠惰さや知見不足をワケ知り顔でそれっぽく誤魔化すのは本当に背任行為と言ってもいいのではないかと感じています。知見が足りなければすぐに知見を求めて、外部に頼るべきだと想いませんか?


 下記、残りの3つについては後編で記述させていただきます。


3.明確な目標数値があること

4.明確に活用すべき戦術・施策・パートナーがわかること

5.その領域のノウハウがリアルタイムに提供されること

 

 こうやって記述していくことで、改めて自社の考え方もまとまってくるので、書き続けていこうと考えています(笑)創業した当時は、365日ブログを書きました。他に何を習慣づけていいのかわからなかったこともありますが、毎日欠かさず続けました。

 今は毎日ブログを書こうとは考えませんが、必要なことを言語化し続けていくことは重要なことであると心底感じています。できるだけ自分の知見を言語化し、ノウハウの再現性を担保していければと考えています。ぜひ後編もお付き合いくださいね。

MiLAI Brain

『Digital Power Inside』 『MiLAI Brain』は、デジタル機能を自社に内製化したいすべての経営者様のためのメディアです。 上場前後の成長企業を中心に、デジタル部署の内製化をメインにお力添えしてきているリトルクラウドが発信するリアルな現場✖デジタルシフトの知見✖経営目線で実用的な情報をお届けして参ります。 デジタル機能の内製化に悩むあなたのブレーンとなるメディアへ。

神原太郎

『頑張っている人たちが報われる社会を創る』
株式会社リトルクラウド代表取締役
早稲田大学文化構想学部卒業。

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