「社長、それは基幹業務システムが不完全な可能性もありますよ」
基幹業務システムを構築するのは並大抵ではない金銭的なコストと労力コストがかかるものなのは、実際に開発を推進されてきた企業の経営者ならご存知のはずです。ですが、実際にものすごい苦労の末に創り上げた業務システムですら、うまく機能しないことが多くのケースで見られます。なぜ基幹業務システムがうまく機能しないのか、まずは手立てを打つためにも簡単に理由をまとめさせていただきました。
▶なぜあなたの会社の基幹業務システムは機能しないのかを示す3つの理由
①業務フローに合わせた仕組みが構築できていない
②UIデザインが洗練されておらず使いにくい
③ウォーターフォールで開発したため、現場の現状とズレてしまっている
①業務フローに合わせた仕組みが構築できていない
⇒要件定義から基本設計の流れを行われた会社が多いかと考えますが、この過程でそもそもつまずいていることに気づかない企業様が大多数です。特に業務分析がうまくいっていないケース、業務フローをシステム会社が分析したものを精査するためにも社内の基幹業務システム構築プロジェクトのメンバーが業務フローに誰より精通している必要があるのです。ところがこの辺りを理解していない企業は、下手すると一番現場のことを理解していない情報システム部のメンバーなどに責任ごと渡してしまい、企画時点でうまくいっていかなくなっていることに気づかず長い年月を注ぎ込んで、結果全く業務にマッチしないものになってしまうということがあります。まずは現場の業務に精通した人間をプロジェクトにアサインすることが重要だということを前提にして体制を見直してみましょう。
②UIデザインが洗練されておらず使いにくい
⇒肌感覚ですが2010年以前に創られた、もしくはそれ以前からシステム開発を行っている会社は前時代的なデザインになってしまう場合があるのをご存知ですか? デザインの在り方は近年大きく変化しており、重要性がますます謳われている領域です。特にUI/UX、いわゆるシステムの画面の見た目や使い心地というものは、2000年代はあまり重要視されていなかったのが、2010年代になると急速に発達してきました。ですので、まずはしっかりデザインを評価できる知見がある人間に確認してもらい、デザインの改善点を診断してもらうことが必要です。一度大金をかけてシステムを創ったからと言って、前時代的なつくりになってしまっているシステムが現場の時間とやる気を蝕んでいるとしたら・・・それはすぐにテコ入れしなければならない内容だとは想いませんか?
③ウォーターフォールで開発したため、現場の現状とズレてしまっている
⇒開発のスタイルは従来「ウォーターフォール」と言って、最初に要件定義、いわゆる企画、「どんな要件を満たすシステムを構築するのか」を全部決めて、その上で開発する詳細を設計していくやり方が普通でした。しかし、どうでしょう。現代のビジネスのスピード感において、半年~1年以上かけて開発する内容を決めていくというのは正常でしょうか? これだけ環境が変わっていく現代において、1年もの間、いや開発の期間も含めれば1年以上、3年などの長い期間をかけて当時に決めた通りの仕様でシステムを開発することが正常でしょうか? 正直に言えば、正気の沙汰ではないなと感じます。元々システム開発に関わり始めた当初は、業務システムはウォーターフォールでやるのが基本、というのを聴いていたのでそれを信じてしまっていましたが、現代においてウォーターフォール型の開発が功を奏することはほとんどないと感じています。現代はアジャイルでの開発といって、最小限の開発対象に絞って要件を決め、それを開発してまたレビュー(評価)をし、次の開発対象の要件を決め・・・というように作るべきところから少しずつ作っていくというのが主流になってきています。開発言語もどんどん変わっていっています。技術力がある、などと豪語しても前時代的な開発言語での技術力など3年後には化石です。モダンな(現代に則した)開発になっているかどうかを見直してみるところからではないでしょうか。開発会社の言いなりになっていて成功するような生半可な事案ではないということをご理解ください。
基幹業務システムの開発まで行っている企業であれば、デジタル及びシステム活用の重要性は十分に理解した上で取り組まれていることでしょう。それ故に、その労力をぜひ正しいやり方、正しい方向に使ってほしい、そう想います。ぜひ今の基幹業務システムが生産性の向上を阻む根本原因になってしまっていないか、改めて見直してみられることをおすすめさせていただきます。
0コメント