6.なぜ導入したクラウドサービスが定着しない状態があなたの会社で続いているのか?

「社長、それは⑴ツールが適切でないか、⑵定着させる努力を怠っているか、どちらかです!」


 「せっかくクラウドサービスを導入したんだけど、使いづらくて全然定着しなかったんだよね。担当営業に思わず文句言ったよ、お金返してほしいくらいだ」というような旨を聴いた時、考えることは3つです。①導入したツール自体のレベルが低かった ②導入したツールが自社とは合っていなかった ③導入したツールを定着させる努力が足りなかった 大体この3つのどれかに当てはまります。それぞれについて、少し解説させていただこうと想います。

▶なぜデジタルツールが定着しないのかの理由を分析することが大事

①導入したツール自体のレベルが低かった
②導入したツールが自社とは合っていなかった
③導入したツールを定着させる努力が足りなかった

①導入したツール自体のレベルが低かった
⇒レベルが低いポイントは大体いくつかにまとまります。それぞれに対しての解説と対処策を合わせて記述させていただきます。

⑴見た目(UI)が悪い
 →見た目がよくないサービスは2011年より前に創られた会社に多く見られます。要因は「UI(ユーザーインターフェース、いわゆる利用者が使う画面の見やすさのこと)デザイン」についての観点が薄い会社が多いからです。2000年代のシステムはあまり見た目のところは重視されていなかった上、システム会社はそもそもデザイナーが手薄であることがほとんどでした。最近のサービスやアメリカ発のサービスに使い慣れていると、見た目は結構気になるポイントだとも感じます。どうしても必要なサービスであったとすれば、改善要求をすべきです。不要なサービスであれば解約しましょう。

⑵バグが多い
 →一般的に考えておかしい不具合が多い場合はすぐに改善要求をしましょう。これについては、リリースしたばかりのサービスなどであれば多少あっても普通のことです。一方で着目すべきは要求してからの改善スピードです。バグがあるかないかではなく、改善されるかされないかに注目してみましょう。バグが多少あっても、すぐにバグを改善してくれるような会社は見込みがあります。すぐ、というのは大体長くても2週間以内、基本的には5営業日以内のことを指しています。それ以上かかるのであれば恐らく技術力・人財が共に不足している可能性が高いですね。すぐに解約しましょう(笑)

⑶使い心地(UX)が悪い
 →使い勝手が悪いんだという声が現場から上がってくるのであれば、UX(ユーザーエクスペリエンス、いわゆる利用者が体験した時の心地よさ)が悪い可能性があります。現場のことをよく知らない会社が作っている机上の空論で創られたサービスをはじめ、実際の利用者と開発側の普段からのシステムの活用状況や理解度などに差があることで起こる問題でもあります。現場の業務フローや業界の特性に合っていないなど根本的な問題があるのであれば、利用を停止するのも手でしょう。一方で、社内の問題の可能性もかなり高いです。自社の業務フローや考え方を少し変えるだけで、うまく使えるようになったり、そもそも自社の社員が現代的なシステムを使える見識が足りなかったり、そういう話の可能性があります。まず一般的に見てどうなのか、専門家に見てもらうといいでしょう。自社のレベルが低いことに気づけるチャンスになるかもしれません。

⑷必要な機能が足りない
 →一般的に見て致命的な機能が足りないのであれば、改善要求および追加実装の要求をしましょう。これもまた対応スピードを確認する必要があります。そんなに簡単にはいかないでしょうが、2ヶ月以内くらいに対応してもらえるといいですね。対応スピードが遅ければ解約してもよいのかもしれません。一方で「あったらいいな」くらいの機能が不足している時も追加実装の要求をしてみるのが吉です。クラウドサービスというのはお客様の声を聴きながら改善するものなので、あなたの会社の希望を実現してくれる可能性が高いです。一方でその気が全くないサービスであれば、自分達本位の可能性が高いので早々に代替案を見つけましょう。


⑸他のツールと連携できない
 →これも致命的な問題になるケースが多いです。しっかりと顧客が広がっているサービスは「API連携」といって、他のクラウドサービスとデータなどを連携することが可能な場合が多いです。これが新参のサービスやそこに開発の力を入れられていないサービスですと、「CSV(Excelのようなデータ形式)で~」などと前時代的な連携しかできないケースもあります。これは大幅に生産性が変わってしまう内容なので、改善要求を行うことが望ましいです。意外とここにかまけるサービスは多く、伸び悩むサービスの特徴でもあります。いろんなサービスとすべてAPI連携をするには交渉や開発工数も多くかかってしまうので、そこが各社厳しいポイントです。


②導入したツールが自社とは合っていなかった
⇒実際に自社の性質に合っていないツールを導入してしまう会社は多いです。これは全体戦略から考えた時に必要になるツールを導入しているのではなく、営業マンが提案してくるツールを場当たり的に導入している、いわゆる「部分最適」が行われているのが問題になっているケースが大半です。まずは本質的にそのツールが自社の事業特性や組織のあるべき姿と合致しているのかどうかを考える必要があるわけです。その上で、仮にそこには合致していたとしても、タイミングが合っているかどうかという点もあります。組織の人数を考えるともう1サイズ大きくなってから入れたらいいサービス、中間管理職が増えてから入れた方がいいサービス、などいろいろ経営視点で見てみるとツールの特性に応じてタイミングがあるものです。その適性やタイミングの見極めがとても重要、これらはご相談いただければセカンドオピニオン的に支援させていただけますので必要であればコチラから。


③導入したツールを定着させる努力が足りなかった
⇒上述した適性やタイミングが合っている場合、ツールが定着しないのは経営陣の怠惰と言っても過言ではないでしょう。いつの時も、新しいことを始めるのは並大抵のことではないはずです。定着させるためには、なぜそれをしなければいけないのか、どのように定着させていく計画なのか、具体的に何から始めればいいのか、定着具合をどのように計測・評価する必要があるのか、などを社内に示し、責任者を立てて推進していく必要があるでしょう。ただし、定着のための活動を誰よりも促進するのは経営陣でなければ話になりません。トップやそれに準ずるメンバーが本気であればツールは絶対に定着します。メッセージと行動で引っ張っていくのは経営陣の責務だと肝に銘じていただくべきかと考えます。

 デジタルツールの大半は導入するタイミングでの意思決定のミスでうまくいかないものだということをご理解いただくと、いかに慎重に、且つ真剣に検討すべきかというのをご理解いただけると考えます。ノリや勢い、付き合いなどで意思決定を行うのではなく、冷静に必要性と相性を見極めることをぜひ忘れないでいただきたいと心から想います。

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全国を股にかけ、アナログな業界のデジタルシフトに従事する株式会社リトルクラウドの経営コンサルタント、Copel。上場を視野に入れた複数社でのデジタルシフトに従事。新規事業開発から社内インフラの刷新、マーケティング戦略の立案やデータ分析体制の確立など多岐に亘ってのいわゆる『DX的業務』に貢献。DXとはチェンジマネジメントであるという経営視点からの認識と、広範囲を統括できる知識量、社内社外問わない卓越したリソースマネジメント手腕が高く評価されている。

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