「社長、それは色々なことを1人の人間にやらせすぎだからです。それも、苦手なことまで含めて」
冒頭の文章でハッとする方もかなり多いでしょうが、マルチタスクというのは人の可能性を大いに縮めてしまうものだと考えます。ベンチャーや「うちは小さい会社だから」という大義名分?の下、デザイナーにマーケティングをさせたり、マーケターにシステム開発を任せたり、無茶苦茶な進捗をしている企業が後を絶ちません。そんな内容も含め、IT人財を採用できたのになかなか芽が出ないなぁとなってしまっている企業様の理由を紐解いていきたいと考えます。
▶︎なぜ、IT人財を採用しても会社に十分な変化がもたらせないかの3つの理由
①雇った人材の保有スキルと自社でやりたいことに必要なスキルがズレている
②純粋にリソースが不足している
③メンバークラスの人財しかいない
①雇った人材の保有スキルと自社でやりたいことに必要なスキルがズレている
⇒デジタル関連に疎い経営者の会社では特に起こりやすい事象です。ITが強い人間は一緒くたになってしまう、つまりデザイナーもエンジニアも情報システム部門も、パソコンが一定以上に使える人間は全員同じ扱いになってしまう。こんな会社が数多くあるのがまだまだ日本の現状とも言えます。直間比率などという言葉がありますが、もちろん直接的に利益貢献する営業をはじめとした「直」の方の部門の方が会社の中に多いことは重要でしょう。一方で、エンジニアが会社の大半を占める会社が出てきているように、会社組織自体の構造も変わりつつあるのです。更にはただ作業をしているだけの会社だとこの先は生き残っていけない、より企画をはじめとした「考える力」を必要とする時代となってきました。今までと同じ組織構造ではなかなか難しい時代になってきた現実を直視すると、この直間比率の作り方も改編する必要があると考えます。組織において、デジタルに強い人財がいるべき比率は日に日に大きくなっていることを認識する必要があります。
その上で、改めて主題に戻ると、上述したデジタルに強い人財がいるべき比率が大きくなっているとも通じますが、組織内に必要なデジタル人財のバリエーションが増えているという事実があります。IT人財の採用サイトなどをご覧いただいても分かるとおり、デザイナー一つとっても色々な種類のデザイナーがいるというのが現代の実情です。UI/UXデザイナーとDTPデザイナーとWEBデザイナーは全く別の類のものだと理解した方が良いでしょう(たまに1人で全てできてしまう人もいますが)。まずは⑴今の自社や、社内のプロジェクトに必要なスキルが何であるのか、⑵その人財を確保する術はどのようにすれば選定できるのか、⑶実際にどうすれば必要なスキルを持つ人財だと見極められるのか、というそれぞれのステップごとの知見を持つ人間を味方につけるべきかと考えます。野球ができる人財と言っても、ピッチャーやキャッチャーなどそれぞれのスキルはまったく別物です。そこを理解し、適材適所ができるように組織づくりの見直しを行いましょう。
②純粋にリソースが不足している
⇒純粋に一人一人は優秀で、且つ必要な人財がいたとしても、一度に任せている内容が多すぎればうまく組織は回らないはずです。①で記述したスキルの混合の話とはまた別に、⑴優秀な人間に一手に担いさせすぎること、そして⑵十分な部下をつけないことなどから優秀な人間がパンクしてしまい、機能不全に陥ることがあります。その事態に気づけていない経営陣は「デジタルって結局大して機能しないじゃないか」と間違った思い込みを持ってしまい、結局更なる人財の増員の意思決定を見送る悪しきスパイラルに陥ります。もし本格的なデジタルシフトを望むのであれば、十分すぎる適切な人材を確保していただき、常に組織体制を見直すことをオススメさせていただきます。
③メンバークラスの人財しかいない
⇒上述した内容にも近いですが、スポーツのチームなどと同じで、ビジネスのチームも基本的にはマネジャー(監督)がいないと成立しないはずです。それと同じで、現経営陣がデジタルに強くないのであればデジタルのことを理解している首脳陣が当然必要となります。ただ、いきなり選手だけ採用してしまっても、戦略や戦術が決まっていないだけだと闇雲にバットを振る無駄な動きで終わってしまいます。間違いなく最初に重要なのは戦略や戦術です。この戦略や戦術を設計し、さらにその実行をコントロールしていける優秀なマネジャークラスの人材がいないと、メンバークラスの人間は全て無意味になります。ですが、最初なのでコストの安い人財から試しにとってみようという安易な発想で、メンバークラスのデジタル人財から採用してしまい結果機能しないという事態は多々起こります。もしくはどのレベルの人財を採用したかもよくわかっていない企業も数多く存在します。そうならぬように、まずは優秀な人財から採用すべきだという経営における極めて当たり前のことを認識すべきです。
色々と記述されてはいますが、結論的には経営陣に十分な理解がないからこそ起きる問題しかないというのもまた現実だと考えられます。デジタルシフトを進める上で組織計画が一番と言っても過言ではないです。組織計画、内製化のご相談非常に増えていますので、危機感をお持ちの経営者様はぜひご相談くださいませ。
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